認知症の80代女性に相場より高値で不動産を売却したとして、警視庁捜査2課に準詐欺容疑で逮捕された不動産業者の男らが、約9万人分の高齢者名簿や詐欺のマニュアルを使い、判断力が低下した高齢者らを狙って購入を持ちかけていたことが、捜査関係者への取材で分かった。
捜査2課によると、グループは不動産会社「インターネット不動産販売」などを名乗り、認知症の高齢者ら約50人から計約1億3000万円をだまし取ったとみられる。同課は都内の犯行拠点から、80歳以上の高齢者約9万人分の電話番号などが入った名簿とマニュアルを押収した。
電話や訪問営業の手法をまとめたマニュアルには、高齢者を信頼させる話術、資産状況や家族構成、認知能力などのチェックポイントが記されていたという。
捜査2課は25日、認知症の80代女性に別の物件を3400万円で売った準詐欺容疑で、グループに所属するいずれも職業不詳の東京都豊島区の山崎和馬(41)、練馬区の大川史郎(34)ら4容疑者を再逮捕した。
再逮捕容疑では、昨年6月中旬、女性に300万円で仕入れた相模原市内のアパートの1室を、3400万円で売ってだまし取ったとされる。捜査2課は4人の認否を明らかにしていない。
同課によると、部屋を女性と不動産会社が共同所有する契約を結び、女性の持ち分は半分だった。会社が所有するはずの残り半分の権利も、別の高齢者にほぼ同額で売ったとみられる。
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警視庁が押収した山崎容疑者らのマニュアルには、判断力が落ちた高齢者を信用させる話術が具体的に記されていた。
捜査関係者によると、高齢者に電話する実行役は不動産会社の若手社員を名乗り、「○○さん(電話相手)とは以前もお話しさせていただいたんですよ」などと切り出すという。
(写真はイメージです)
「新人だった6年前にお住まいの地域を担当していて、○○さんに『頑張りなさい』と励ましてもらったんです」と続けるが、全てがウソ。会話の中で相手の認知能力を見極めながら、資産状況や家族構成を聞き出す。ヘルパーや家族が訪問する日も確かめ、1人でいる日時を狙って家を訪ね始める。
訪問を重ねて深い信頼関係を築いた後は、いよいよ物件購入を持ちかける。名目は家賃収入を見込んだ不動産投資。ところが買わせるのは古い安アパートで、投資を回収できる見込みはほぼなかったとみられる。
だませると踏んだ相手には、さらに支配を強めていった。今回の被害女性は男らの指示で、金融機関の口座を作らされていたが、管理していたのはグループ側。男のうち1人のスマートフォンを使ってオンラインで女性名義の口座を開き、だまし取った金を自由に出し入れしていたとみられる。捜査幹部は「なんの落ち度もない被害者から金を絞り取る悪質な犯行だ」と語気を強めた。(佐藤航)
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