作家の司馬遼太郎さん(1923~96年)と手紙で交流があった東京都瑞穂町の小学校教諭、神山育子(こうやまやすこ)さん(1932~2019年)の教員としての軌跡をたどる企画展「『こどもはオトナの父司馬遼太郎の心の手紙』-奇跡の授業から35年、瑞穂の一教諭と子供たちの記録」が、町郷土資料館「けやき館」で開かれている。16日まで。入場無料。(松島京太)
2人の手紙や児童の感想文が展示された会場=瑞穂町で
2人の交流のきっかけは1988年、司馬さんの短編小説と論説文が載った国語の新規教科書が一切、公立校で採択されなかったことだった。しかし、神山さんは掲載された作品に感銘を受け、不採択となった教科書のコピーを課外授業で使った。
児童たちに紹介したのは、司馬さんが子どもたちへのメッセージを込めた論説文「二十一世紀に生きる君たちへ」。神山さんが、作品を読んだ子どもたちの感想文を司馬さんに送ると、本人から返事が届いた。「子供達の一人々々の顔が見えるようでした」(原文ママ)
その後、神山さんが司馬さんに児童の感想文を送るなどして、2人は手紙のやりとりをするようになったという。
やりとりの経緯を記した書籍
企画展では、2人が交わした手紙の内容を紹介。児童の読書感想文や、神山さんの教員時代の記録なども取り上げている。神山さんがやりとりの経緯を振り返った書籍「こどもはオトナの父司馬遼太郎の心の手紙」(朝日出版社)も展示されている。
期間中は、学芸員らによるギャラリートークがあり、終了後には約1時間司馬さんの直筆の手紙が特別公開される。ギャラリートークは7日、16日の午後1時半~2時。問い合わせは同館=電042(568)0634=へ。
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