〈法廷の雫〉
過去に窃盗を繰り返した男性(65)は最後に服役してから十数年、真面目に暮らしていた。だが、今年に入り万引事件で逮捕された。盗んだのはヤモリ。東京地裁立川支部で4~6月にあった公判で、被告となった男性が孤独を感じ、再び盗みに手を出すまでの経緯が語られた。(鈴鹿雄大)
多摩地域のアパートで暮らし始めたのは4年前。最寄り駅から徒歩15分、1Kの部屋に1人暮らし。年金に加え、清掃の仕事を掛け持ちして月15万円ほどを得ていた。友人との付き合いはなく、同僚とは「仕事場で話すだけ」の仲だった。

ニホンヤモリ(資料写真)
昨春、公園で清掃の仕事をしている途中、トカゲを偶然見つけた。種類も分からなかったが、捕まえて飼うことにした。世話をしたり眺めたりするのが次第に「癒やし」につながり、唯一の趣味になった。おなかをすかせたトカゲに餌のコオロギを食べさせたいと、普段は行かない都内のペットショップに通ったこともある。だが、そのトカゲはやがて死んでしまった。
寂しさを埋めたいと思ったか、ある時再びペットショップに向かい、トカゲに似た姿をした生き物を眺めているうちに、我慢できなくなった。
昨年のクリスマスイブ、ヤモリ1匹を飼育ケースごとバッグに入れて盗むと、歯止めが利かなくなる。同じ手口で約1カ月の間に4回、計5匹(22万円相当)を盗んだ。
事件発覚のきっかけとなった最後の万引は今年1月下旬。店員に見つかったため突き飛ばすなど暴行を加え、逃走中に学校敷地内に侵入するなど罪を重ねた。窃盗、暴行、建造物侵入の罪に問われた。

東京地裁立川支部(資料写真)
弁護人「なぜ...
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