この夏、新宿の廃校跡で奇妙な読書会が開かれた。薄暗い教室で、このために書き下ろされた怪談小説を読み進める。物語は途中で終わり、どんな結末を迎えるかは読み手の選択次第。虚構と現実が交錯するような世界に入り込んだ。(押川恵理子)

小説の中に入り込んだような雰囲気に演出された怪談の読書会=新宿区で(Tales&Co.提供)
7月中旬の午後、20人ほどが読書会に集まった。会場は「三年二組」。窓には暗幕が張られ、赤色の照明が薄気味悪く教室内を照らす。入り口にはろうそくと除菌用シート。「ゲームマスター」と名乗る男性に誘導され、参加者はシートで手を消毒する。中央には古びた机と、いす。それらを囲んで参加者は着席し、怪談作家・梨さんの短編小説「燐火(りんか)第13号」を一斉に読みだした。
夕暮れの廃校は消毒液の匂いがした──。そんな一節から小説は始まる。帰省中の女性が母校を訪ね、親友と過ごした高校3年生の夏を回想していく。文芸部だった女性らは文化祭に向けて怪談小説を書くことに。筆が進まないまま締め切りが迫り、2人は霊に質問する「こっくりさん」を教室で試し、その様子を小説風に仕立てることにした。

教室中央の机には、こっくりさん用の文字盤や10円玉などが置かれている=新宿区で(Tales&Co.提供)
読書会が開かれた教室内は冷房で肌寒く、不穏な音がかすかに聞こえる。中央の机にはこっくりさん用の10円玉や文字盤が置かれ、小説の中に入り込んだような雰囲気だ。参加者の中には、ブツブツと声を出して小説を読む男性や、自分はサクラ(偽者の客)だと言い出す女性、小説の主人公の名前を名乗って話し出す女性ら。そうした演出があり、虚構と現実が入り交じるような奇妙な感覚に陥った。

読書会の参加者を誘導するゲームマスター=新宿区で(Tales&Co.提供)
小説は終盤、読み手に決断を迫る...
残り
688/1376 文字
この記事は会員限定です。
無料会員に登録する
有料会員に登録する
ログインして続きを読む
有料会員に登録すると
会員向け記事が読み放題
記事にコメントが書ける
紙面ビューアーが読める(プレミアム会員)
※宅配(紙)をご購読されている方は、お得な宅配プレミアムプラン(紙の購読料+300円)がオススメです。
会員登録について詳しく見る
よくある質問はこちら
免責事項:この記事は他のメディアから複製されています。転載の目的は、より多くの情報を伝えることです。このウェブサイトがその見解に同意し、その信頼性に責任があることを意味するものではなく、法的責任を負いません。 このサイトのすべてのリソースはインターネット上で収集されます共有の目的は、すべての人の学習と参照のみです。著作権または知的財産権の侵害がある場合は、メッセージを残してください。